宝石研磨師・水晶美術彫刻家である深澤陽一先生と、
MasPender.が歩んできたものづくりの物語。
MasPender.の歩みの中で、深澤陽一先生との出会いは、ものづくりの考え方を大きく変える出来事でした。
高い技術を持つ職人と出会い、その技術に敬意を払いながら、天然石とジュエリーの新しい可能性を形にしていくこと。 その積み重ねが、MasPender.の現在のものづくりへとつながっています。
このページでは、深澤陽一先生の歩み、MasPender.との出会い、そして共にパリへ挑戦することになった背景をご紹介します。
2020年、MasPender.はジュエリーブランドとして歩み始めました。
ブランドの成長とともに、プロデューサーである秋山真澄が直面していた課題のひとつが、製作環境の向上でした。
理想とするジュエリーを形にするためには、高い技術を持ち、大切な仕事を安心して預けられる工房との出会いが必要でした。 秋山は課題にぶつかるたびに、信頼できる製作環境を探し続けていました。
そんな中、あるご縁から深澤陽一先生の工房に伺う機会をいただきました。 そこから、深澤先生とMasPender.の親交が始まります。
ブランドを始めて1年。ジュエリー製作を始めてから、まだ3年にも満たない秋山にとって、 甲州貴石切子の開発者であり、伝統工芸士、山梨県認定ジュエリーマスター、一級宝石研磨士として 多くの資格・認定・受賞歴を持つ深澤陽一氏は、まさに雲の上の存在でした。
深澤先生の作品を扱うことさえ、最初は身に余るように感じていたといいます。
しかし同時に、秋山真澄の中には強い確信がありました。 深澤先生の宝石作品を使うことで、MasPender.のジュエリーはさらに素晴らしい高みへ到達し、 その感動をMasPender.のお客様へ届けることができる。
その思いは、秋山のものづくりに大きな情熱をもたらしました。
この時期から、深澤陽一氏と、その周囲にある製作環境によって、 MasPender.のジュエリー製作技術は飛躍的に進歩していきます。
秋山真澄は、MasPender.を単なるジュエリーブランドではなく、 新たなジュエリーの価値を生み出し、職人への還元や育成にもつながるブランドへと成長させたいと考えるようになりました。
深澤陽一という天才を世の中に届けていきたい。 そして、MasPender.自身もその目標を達成できるブランドになりたい。
この出会いをきっかけに、MasPender.は新たな段階へと動き出しました。
深澤陽一氏は、山梨県甲府市を拠点に活動する、宝石研磨師・水晶美術彫刻家です。
30年以上にわたり天然石と向き合い、伝統技術と現代的な造形感覚を融合させた作品を生み出してきました。
昭和62年より宝石研磨の道に入り、立体彫刻、ルース研磨、装身具加工において高度な技術を確立。 特に、石の内部構造や光の屈折を活かした造形表現に定評があります。
また、「甲州貴石切子」の創出・発展にも寄与し、宝石の価値を損なうことなく、 新たな美を引き出す独自の技法を確立しました。
現在は工房を主宰する傍ら、教育機関において後進の育成にも尽力しています。
深澤氏の作品の根幹にあるのは、宝石研磨と彫刻、双方における卓越した技術です。
宝石研磨は、石の光を最大限に引き出す技術。 彫刻は、形そのものに命を吹き込む造形の技術。
深澤氏はこの2つを別々の工程としてではなく、ひとつの作品の中で一体化させて設計します。 曲線を主体としたオブジェのような作品、光を内包する宝石作品は、この融合技術から生まれています。
深澤氏の水晶彫刻は、硬い水晶でありながら、まるで柔らかな素材のような印象を与えます。
粘土のようになめらかな曲線。 有機的で途切れのないライン。 内部の透明感を壊さずに削り出される造形。
割れやすく、扱いの難しい水晶を、まるで流体のように扱うその技術は、極めて高度なものです。 石の硬さを感じさせない柔らかさと、天然石が本来持つ透明感。 その両方を同時に成立させるところに、深澤氏の彫刻作品の大きな魅力があります。
深澤氏の代名詞ともいえる技術が、「甲州貴石切子」です。
表面には、宝石としての輝きを引き出すファセットカット。 裏面には、切子による彫刻的なカット。
この表と裏の二層構造によって、宝石の内部に光と影が生まれます。 そして、見る角度によって模様が浮かび上がり、宝石に唯一無二の表情が宿ります。
甲州貴石切子には、100分の1単位で設計される下書き、数十工程におよぶ研磨プロセス、 わずかなズレも許されない精度、そして多種多様な宝石の特性を知り尽くした経験が必要です。
それは単なる工芸技術ではなく、光学設計と手仕事が融合した領域です。
通常の宝石カットが一方向に光を返すのに対し、甲州貴石切子は、宝石の内部で裏面の切子模様が浮かび上がり、 見る人に新しい感動を与えます。
MasPender.はブランドスタートから3年足らずで、1,000万円を超えるビスポークジュエリーの依頼を受けるブランドへと成長しました。
そして、フランス・パリでのMasPender.エキシビションの計画が始まります。
ブランド5年目には、世界でも極めて限られたジュエリーブランドでしか成し得ていない、 レッドダイヤモンドを用いたビスポークジュエリー製作の実績も生まれました。
秋山真澄は2025年10月、パリへMasPender.ジュエリー展の打ち合わせに向かいます。 その際、密かに計画していたことがありました。
MasPender.のジュエリー展示だけではなく、深澤陽一先生の宝石作品を用いたジュエリー、 そして水晶彫刻作品の展示を同時に行うこと。
職人としてだけでなく、アーティスト・深澤陽一を芸術の都パリへ紹介すること。 それが、秋山の中にあった大きな構想でした。
時を同じくして、深澤陽一先生は2025年11月、ジュエリー業界への貢献と卓越した技能を持つ職人として、 黄綬褒章受章の知らせを受けます。
50代での受章は、業界においても非常に大きな快挙でした。
秋山は、深澤氏の黄綬褒章受章を祝う会食の席で、パリでの打ち合わせの報告を行いました。 そして、深澤先生が生み出す作品が正当に評価される時代を作りたいという思いを伝えます。
その思いに応える形で、深澤先生もパリでのエキシビションに参加してくださることとなりました。
MasPender.は、宝石の最高到達地点を目指すジュエリーづくりを行っています。
まだ見ぬジュエリーの感動を世の中に生み出し、示していくこと。 それがMasPender.のものづくりです。
一方、深澤陽一氏は、宝石素材そのものの最高到達地点を想像し、 誰にもできない魅力を石に込め、新たな感動を世に生み出しています。
MasPender.と深澤陽一氏。 両者に共通しているのは、一つひとつの仕事に最高最善を掲げ、 人々を魅了し、新しい時代を作る存在であり続けようとする姿勢です。
MasPender.の秋山真澄と安藤慧太は、初めて深澤氏のアトリエを訪れた日の帰り道、 生涯をジュエリーに捧げる覚悟をしたと語ります。
深澤陽一氏とMasPender.の関係は、単なる職人とブランドの関係ではありません。 それぞれの志が作品を通して響き合い、世界に届くのかを問いかける挑戦でもあります。
MasPender.というブランドには、2つの側面があります。
ひとつは、レッドダイヤモンドなどの希少石を用いたビスポークジュエリーの製作者として、 信頼を積み重ねてきた側面。
もうひとつは、天然石の魅力をジュエリーという領域にまで押し上げ、 新しい挑戦を続けている側面です。
今回のパリでの展示は、MasPender.の「挑戦する側面」を全面に押し出した新たな試みです。
パリ・ファッションウィークという、世界中のファッション業界の夢が集う場所で、 天然石の魅力をジュエリーとして届けること。 それは、日本の天然石店としても非常に稀有な挑戦です。
本展では、MasPender.の最新作として、日本古来のお守りである勾玉の形をジュエリーへと昇華した 「六柱の魂の雫」を発表いたします。
また、深澤陽一先生の渾身の甲州貴石切子を、梟の翼で胸元へ運ぶ「叡智の翼」によって、 日本の宝石研磨と伝統技術の美しさを披露します。
共同で展示を開催する深澤陽一氏は、現在の宝石研磨の職人としても、 伝統工芸士としても、日本最高峰の職人のひとりです。
ヨーロッパ初公開となる深澤氏の作品を、芸術の都パリで展示すること。 そこには、日本の職人がアーティストとして世界で活躍していく未来への、大きな可能性が込められています。
Youichi Fukasawa × MasPender.
光を生み出す影
L’ombre qui fait naître la lumière
MasPender.は、宝石研磨師・水晶美術彫刻家である深澤陽一先生とのエキシビションを、 パリ・ファッションウィーク期間中に開催いたします。
本展では、MasPender.のジュエリー作品と、深澤陽一先生の宝石作品・水晶彫刻作品を通して、 光と影、伝統と革新、天然石と人の手仕事が生み出す新たな美を表現いたします。
日本の宝飾文化と天然石の可能性を、パリから世界へ。
MasPender.の新たな挑戦を、ぜひご覧ください。